最近読んだ本の内容からの話。 1981年に母校の東京朝鮮高校の社会科教員となり6年後からサッカー部監督に就任した李済華氏は、 國學院久我山高校のコーチとなり、同校の監督となった。 國學院久我山高校は都内屈指の進学校だが、強豪校へと生まれ変わった。 李済華監督が國學院久我山で教えるようになっていきなり強くなっていった理由の一つが、イタリアのACミランのゾーンプレスなど、世界のプロの最先端の戦術を取り入れたことだった。 サッカーは全て世界基準だと考えて、日本の高校の競合チームを真似しようとか、有名な高校サッカーの監督さんの言うことを踏襲しよう、といったことは考えたことがなかった。 マネをするなら、その時世界で一番強いチームでしょ、ということを基準にしていたのである。 同じ高校サッカーの他の強いチームをモデルにせず、世界のプロたちの最先端のゲームばかりを見て、 世界基準のチームで共有化を図るのだ。 いきなり部活の指導者になると、何をやっていいか分からない新人監督が多いが、目標とするモデルがあるとチームをイメージしやすくなる。 高校生でも中学生でも、レベルが高すぎることはなく、子どもたちはイメージさえきちんと共有できていれば 理解して順応してくれて、自然と高いレベルに上がっていこうとして、成長も早いのだ。 成功したいと思ったら、成功例を参考にする、 先駆者をベンチマークする「マネ」は大事だ。しかし、マネは良いがマネする対象をどこに置くかで、 それが成功となるか失敗となるかは変わってくる。 多くの人が「身近なもの」をマネしてしまいます。同じ業界の上位とか、同じ地域の大物といった、自分たちに見える範囲の上位者を見るのです。 しかし、同じようにマネして頑張る人たちの中で、手の届く範囲の中のものをマネしている人より、世界のトップレベルのマネをしている人たちのほうが圧倒的に成長していくのは明らかです。 世界の一流、世界の最高水準のものを見る癖をつけ、それをみんなで意識するほうが、頭も使い、目指すところも高く、成長が早いのです。 身近なところをベンチマークしない、というのはベンチマークの鉄則中の鉄則なのです。